ホーリーランド 18(最終巻) 森恒二 白泉社
ついに完結しました、ホーリーランド。街の代表・神代ユウは、トゥルーと呼ばれる薬物を捌く拳法使い・キングと対峙します。キングを破った神代に対して、やっと表舞台に出ることを決意したカリスマ・伊沢は最後の闘いを申し出ます。ここからは賛否両論あるでしょうが、伊沢は神代に破れます。そして、マイと会うためにひとり街に戻った神代は、かつての自分と同じ境遇だった少年に刺されます。神代が死んだかどうかは、明確には描かれていません。最近多いですが、読者に丸投げした格好ですね。それぞれの読む人の思いにまかせるということでしょう。
エピローグでは、キックのチャンピオンに挑む伊沢の姿が描かれていますが、そこに神代はいません。なんとなく、街の精霊になっちゃったような描かれ方ですが・・・どうなんでしょう。
正直、キング編は蛇足だったかなー・・・と思わなくもないですが、おそらく作者としては、伊沢と神代を大人世界に連れ出すための通過儀礼として位置づけたかったんでしょうね。そのため、大人と子供のちょうど境目にいるキングを、大人世界への門番として描き、彼を倒すことで大人の世界へ仲間入り、という筋書きなのでしょう。いくらカリスマだ街のヒーローだっていったって、それは子供世界の中の話。結局は外の大人の世界(法律、ヤクザ)といったものの前では、路傍の石くれのようなもので。 いつまでも、その中で安穏としてはいられず、いつか子供たちは態度を表明することを迫られます。大人のルールの中で生きていくか、そうでないのか。伊沢は明確に大人世界に入っていくことを決意して、伊沢にとっての卒業=神代との対峙を経て、キックの世界に入っていきます。ここで伊沢と神代という2人のヒーローを設定してしまったことがあのラストの苦しい終わり方につながったのでしょうか。
まあいずれにせよ、全編を通して大きな破綻もなく(このあたりはさすがは白泉社というべきか)、良作にまとまったと思います。エピローグやらなんやらに明らかに寄生獣の影響が見てとれますが、比肩するのは無理があるとしても、それなりにいい作品だったと言えるでしょう。
もうひとつのエンディングがもしあるのなら・・・
Posted: 8月 3rd, 2008 under 森恒二.
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